アーティスト「成宮成人」さんは、共鳴画家として"見えない振動"を作品に宿しながら、アート作品を創出しています。絵を通して人と人がつながる瞬間を大切にし、文化的なルーツや感情のゆらぎまでも描こうとするその姿勢は、多くのアーティストに新しい視点を与えてくれるはず。今回は、成宮さんのバックグラウンドから創作哲学、今後取り組んでみたい活動、そしてHACKK TAGの印象についても伺いました。成宮成人共鳴画家 / Resonance Artist横浜在住・和歌山県生まれ / 両利き手神仏や仏閣、生物をモチーフに、日本文化の精神を荘厳に描く共鳴画家。国内外の展覧会やアートフェアに多数参加し、受賞歴も多数。水彩・ペンを中心に、色鉛筆・ラメ・自然素材を用いて、繊細さと大胆さが共存する作品を制作。ライブペイントやワークショップも積極的に行い、体験型アートの魅力も発信している。夢の中で祖父からのメッセージが届く絵を描くようになったきっかけは? 亡き祖父が夢に出てきて指南してくれたのがきっかけです(笑)嘘のような本当の話なのですが、当時は今も続けている介護関係のお仕事をしていて、ただ何かもやっとした、自分ではない自分がそこにいるような違和感を抱えていたんです。そんな中、ある日突然亡き祖父が夢に出てきて、「人生で一番楽しいと思ったことを具現化するようになれば成功する、そしてきみ(成宮さん)にとってそれは絵である」と。後から気づいたのですが、祖父は会社経営者であったり、地主であったり馬主であったり、旅人であったり・・・色んな一面を持っていたのですが、アーティストでもあったみたいなんです。祖父が夢に出てきた時のイメージ色々パワーワードが出現しましたね(笑)元々絵を描くことは好きだったのですか。小さいときに絵を描くのは好きだったのですが、寺社仏閣の絵などを好んで描いていたので好きな女の子に気持ち悪がられたりして(笑)それ以来描くのをやめていたのですが、これを機にまた描いてみようと思うようになったんです。アートはコミュニケーションの手段実際に作品を作ってみてどうでしたかそうして初めて作ったのがSUNという作品なのですが、それをSNSにアップすると某テレビ番組の関係者から「SUN」にアクションをいただき驚いたのを今でも覚えています。その後もSNSなどを通じてたくさんの方に作品を見てもらえたり、会いたい人に会えるようになって、「ああ、これは単なる自己表現じゃなくて、人と人をつなげる手段にもなるんだ」とそのころから感じていました。祖父の指南を受けて制作された「SUN」推しが戦隊アニメのヒーローに実際に会えてうれしかった人はいますか? 大阪から上京してきた時にテレビを見ていて面白いなとほれ込んだ木村魁希さんという俳優さんがいるのですが、自身が参加するアートフェスにテレビ番組のロケで来られると聞いてお会いすることができました。木村さんもアートに興味があったようで、繋がることができたんです。最近では木村さんが戦隊アニメのヒーローに抜擢され、木村さんをモチーフにして描いたのがこのポーラーベアなんです(笑)新作「ポーラーベア」とポーズ!僅かな変化を感じ取り共鳴したい「共鳴画家」という肩書きにはどんな意味がありますか? 人との関わりや社会や自然との接点の中で生まれる素直な感覚・僅かな気持ちの揺らぎ——そういった"見えない振動"を、絵として表すようにしています。作品にはモチーフが必ずあって、そこに物語やテーマがある。パッと見て親しみやすくても、実はかなり深い意味を込めているんです。 たとえば最近「サークル型」の作品制作に取り組んでいるのですが、"一致団結"や"歴史の連なり"といったテーマを、円という形で表現しようとしています。見る人がその作品からなにか"共鳴"してくれるといいなという願いも込めて、「共鳴画家」と名乗っています。日本文化の価値を再発見神仏に関連するテーマ等、日本文化をアートで表現されてますが、なぜ日本文化を作品で伝えたいと思うようになったのですか?あるコンテストに入選して初めてニューヨークで展示機会を得た時に、海外の大きな美術館などで、日本の巻物や鎧が国内よりもずっと丁寧に保存されているのを見たとき、「自分たちの文化をもっと大切にしなきゃ」と思ったんです。そこから、日本の色づかいや精神性、禅的な感覚を、作品の中に意識して込めるようになりました。 それに、日本文化って、海外の人のほうが関心を持ってくれていることも多いんですよ。アニメや音楽、書道や和柄のテキスタイルまで、いろんな形で日本文化に触れてくれる。それなら、自分なりのアートで発信していこうって思ったんです。海外の方向けの英語版プロフィール。アイコンは写真データをベースに作ったそうモチーフの鳥獣は人や感情・エネルギーの化身作品には動物や架空の生き物なども存在も登場しますね。自分の想像力を逆手に取りながら、人間のエネルギーとか感情を表現するための"化身"なんです。作品も自分で説明して初めて完成するのかなと思うのですが、話す代わりに形や色の背後にあるストーリーを感じてもらいたいなと思っています。環境問題や人間の生き方そのものに問いかけるような作品づくりを意識していて、どこかで"気になる"存在であるようなモチーフを選ぶようにしてますね。作品はどのように構想・制作しているんですか?イメージが「パッ」と頭に浮かぶときは、そのまま描きます。でも出てこないときは、ノートに言葉をたくさん書いて「カルテ」のようなものを作るんです。シンガーソングライターが歌詞を書くような感覚に近いですね。あとはAIをちょっと活用したりもしていて、スピード感のあるアウトプットにはそういったツールも役立ちます。ただ、あくまで"自分の言葉"がベースにあることが大事だと思ってるので、組み合わせ方には気を使いますね。世の中の動静や自然の蠢きも作品に制作中はどのような環境で書かれているのですか?制作中は活火山や街の定点カメラを見たり(笑)音楽を流したりとにかく色んなことを同時並行で進めながら描いています。ちょっとした世の中の動静や環境の変化からも感じるものがある時は絵の中に要素を盛り込んだりしています。介護の仕事をしていますが、利用されている方々とアート作品を一緒に鑑賞したりしてアートを見てどう思うか聞いたりしています。そこから新しいインスピレーションをもらうこともありますね。誰もやっていない・できそうにない創作活動に挑戦したいこれから取り組んでみたいことはありますか?「絶対描けないだろう」って思われるような場所で描いてみたいんですよ。たとえば、滝壺の中で創作とか(笑)あとは砂浜に設置したアクリルパネルの中で音楽に合わせて踊りながら絵の具を飛ばして描くとか、お神輿の上で担がれながら創作するとか。そういう、まだ誰もやってないことに挑戦したい。アーティスト同士の対談にも興味あります。ただ、喋り過ぎてしまうので、HACKK TAGさんがMCで入ってください(笑)神々しさを醸し出す成宮さんHACKK TAGでのデジタル展示も新たな挑戦の一つだったのですかね。そもそもデジタルであることや、普段自分が展示しない場所で展示ができたり。デジタル展示だけじゃなく、100人のアートノート企画など色んなリアルでの取り組みもされているので、サービスを使っていて楽しいですね。アイデア出しは得意なのでいつか企画側にも入ってみたいです(笑)WowUs GALLERYで展示いただいた「THIS IS JAPAN」インタビュアーお気に入りの一作HACKK TAGは人情味のある、どこか“ほっこりとした”サービスHACKK TAGの利用を検討されているアーティストさんにメッセージをお願いします。僕は初期から使わせてもらってますけど、HACKK TAGの運営メンバーの人たちの"人情味"をすごく感じています。なんか“やわらかい”というか、ただのデジタルサービスじゃなくて、「人がいる」って伝わってくるんですよね。このあたりが他のアートサービスとは違うところかなと。この「ほっこり感」を、ぜひ他の人たちにも体感してもらいたいなと思います。 何かトラブルがあった時も真摯に対応してもらえるんだろうなという安心感があります。まずは「やってみる」こと。それだけで、何かが変わると思うんです。僕自身、HACKK TAGさんの展示機会等を通じていろんなアーティストとつながることができました。作品を見てるだけではわからなかった色んな人の感性や背景が、繋がりの中でわかってきたりして。それってすごく貴重な体験だと思うんですよね。成宮さん(左)とIDEABLE WORKS島岡(右)インタビューのお時間をいただきありがとうございました!