50歳で筆を取り、70歳を超えてデジタルアートの世界へ。アーティスト「そらのあお」さんの創作人生は、年齢も常識も飛び越えて進化し続けています。本記事では、そんな彼女が「HACKK TAG」を通じて見つけた新たな表現の可能性と、アーティストへのメッセージをお届けします。そらのあお2002年に生き物をモチーフとしたファンタジーな油彩画で個展、グループ展、イベント参加などの活動を開始。2023年から新たにデジタルアートを始めたことをきっかけに、バラエティ豊かな表現ができるようになる。72歳の現在、初心に帰って創作活動を続けている。HACKK TAGにて販売中の作品50歳、油絵始めます創作活動を始めたきっかけを教えてください活動を始めたのは50歳からです。美大は出ておらず、高校を卒業後はJALで客室乗務員として働いていました。その間、よくスケッチを描くことはありましたが、本格的に絵を描くことはありませんでした。やがて結婚して子供たちが大きくなり、あっという間に時が流れて、自分の人生と向き合う歳になって…「このままやったら嫌やな」と同時に、「絵を描きたい!」という思いが沸々と湧いてきました。頭の中に次々とアイデアがファイルされていく感じで、10枚ほどの油絵を一気に描きあげ、神戸の春日野道にある小さなスペースを借りて初めての個展を開いたんです。今思えばなんて無謀な…(笑)その頃から”そらのあお”という名前で活動されていたのですか?そうですね。絵を描くことを始めるにあたって、初めからアーティストとして頑張りたいと考えていました。いわゆる「老後の良いご趣味ですね」という感じではなく、真剣に作家活動がしたいと考えて、作家名をつける必要を感じていたんです。"そらのあお"という作家名は、私の作品の背景が青い空とか海や宇宙ばかりなので、その時背中を押してくれた友達がつけてくれました。今思うと、青い空ばかり描いていたのはもしかして前職の影響を受けていたのかも知れませんね。そらのあお「希望の光を求めて「星天の約束」シリーズより」続けることの苦労、そしてデジタルアートへの転換活動を開始してからは順調でしたか?はい、どんどん個展を開催して、美術団体に所属した時期もありましたし、定期的に大きい作品を描いて展示するなど貴重な経験をさせていただきました。ところが油絵を描き続けて20年ほど経ち、コロナ禍になる手前から少しずつ、描くのがしんどくなってきたんです。油絵って結構重労働で、キャンバスを出すところから始まる準備や片付けがおっくうになってしまい… 何より作品の搬入や搬出も以前より大変に感じるようになり… 又、完成した作品を保管する場所も狭くなってきたりで描きたい気持ちは変わらないけれど、体力的にそのプロセスがだんだん負担になってきて、次第に制作のペースも落ちていきました。それでも、何か変わりたくて何年も試行錯誤していたんですが見つからず、取り敢えず過去に描いた油絵のデジタル保存をしようと思い立って。最初は、絵を一枚ずつ写真に撮って、色味を整えたり、軽く修正したりするだけのつもりで、オンラインでデジタルアートを習い始めました。ちょうど70歳の時でした。でも、色々教わっているうちに、「ちょっと描き足してみようかな」と思って試してみたら──それがものすごく楽しくて(笑)。「え? こんなに気軽に、自由に描けるの?」って、本当に驚きました。筆洗いもいらない、キャンバスの準備もいらない。気がつけば、保存のつもりが創作になっていて、どんどん作品を描き始めていました。HACKK TAGとの出会いと展示体験HACKK TAGはInstagramで知っていただいたんですよねそうですね。初めて見た時に「あ、こういう展示の機会もあるんだな」と。なんかカッコいいなと思いました。最初はほんの興味本位で、「応募するだけなら…」という気軽な気持ちでエントリーしてみたら、名古屋での展示に選ばれました。それはそれまでの展示に比べて手軽でビックリ!正直、年齢的にも搬入や搬出が無いのは大助かりなんです。スマホから作品データを送るだけで、友人や知人が「見に行ったよ」「見かけたよ」とメッセージをくれました。とても嬉しかったです。「見たよ」「よかったよ」と言ってもらえることが、私にとっては創作を続けるエネルギーになっています。一番左がそらのあおさんの作品「幸せと感動をくれるもの〜full of my favorite〜」現在の創作スタイルと未来へのビジョン最近ではアニメーションにも挑戦されていると伺いました。以前からずっと、「自分の描いた絵が少しでも動いたらどんなに素敵だろう」って思っていたんです。風に揺れたり、まばたきしたり、光がまたたいたり──そういう細やかな動きが加わるだけで、絵が急に生きて見えるんですよね。それで、少しずつですが、アニメーション制作にも挑戦し始めました。最初にキャラクターの目がパチパチと動いたときは、思わず「わぁ、かわいい!」って声を上げてしまいました(笑)。描いていたイメージが、まさにそのまま命を吹き込まれたように動く。その瞬間の感動って、言葉にならないんです。いまは、本当にいろんな可能性にワクワクしています。デジタルの力があれば、表現の幅はどこまでも広がるんだなと実感しています。いま現在の創作のペースや、ご自身が描いている未来について教えてください。今は、とても自由なペースで制作しています。新しい作品を一から描くこともあれば、昔の油絵をデジタルでリメイクすることもあって。そのときの気分で、自然に動いている感じですね。最近では、アニメーションの表現にも少しずつ慣れてきて、目を瞬かせる以外にも背景に光を加えたり、小さな動きの演出にも取り組んでいます。初めて自分の絵が動いたときの感動は、今でも忘れられません。そして、今は72歳になりましたけど──いつも"そらのあお"の明日を模索しながらワクワクしています。年齢を重ねたからこそ描けるものがあるかもしれない。50歳で油絵を始めて、70歳を超えてデジタルアートやアニメーションに出会うことができた。そのひとつひとつが、私にとって、すごく新鮮で、楽しい。「今この瞬間がいちばん面白い」なんて、とても素敵な時間かもって思っています。これから挑戦する人へのメッセージ最後に、これから応募を検討している方々へのメッセージがあれば教えてください。HACKK TAGを通じて、私がいちばんありがたいと感じたのは、作品の現物を送らなくても展示ができるという点でした。以前は、油絵の搬入、搬出の負担がとても大きかったんです。でも、HACKK TAGでは、スマホひとつで完結するんです。デジタルデータを送るだけで、国内外の展示に参加できる。こんなに身軽で、なおかつきちんと“見てもらえる”展示の形があるなんて、私には全く新しい世界でした。また、驚いたのはデジタル展示の迫力と美しさです。アニメーションなど色々な可能性も感じました。それに、プラットフォーム全体の雰囲気がすごくあたたかくて。参加してるアーティストみんなが創る世界観が楽しそう。誰でも良いよ〜と迎えてもらえる雰囲気があって、応援し合える場所だと感じました。これからHACKK TAGに挑戦してみようと思っている方へ。「自分にできるかな」「こんな作品でいいのかな」って迷っていますか?実は私もそうでした。HACKK TAGは年齢も、キャリアも、経歴も関係なくただ、好きなものを描いていて楽しいという、その気持ちを評価してちゃんと受け止めてくれる場所だと思います。インタビュアーを務めた平野 (右)と記念にツーショット現在募集中の展示企画はこちら